股関節・膝・足が痛い方へ
痛みの原因が外傷(ケガ)による場合は、骨折や捻挫(関節を構成している軟部組織の損傷)を生じていることがあります。放置すると痛みや機能障害(関節のグラツキ、運動制限)が残ってしまう恐れがあります。特に腫れが強い場合や皮下出血を認める場合には病院を受診してください。 ハッキリした原因もなく痛みが出現した場合には、様々な原因が考えられます。最も多い原因は、変性疾患(加齢にともなう変化)である変形性関節症が考えれらます。他の疾患も同様ですが、早期発見・早期治療が大切です。変形性関節症の状態(病期)に合わせた治療が必要です。関節痛が長く続く場合には、病院を受診して適切な治療を受けてください。
膝の変形性関節症
中高年の女性に多い膝の痛みは、軟骨や半月板がすり減って起こってきます。
腫れて関節に水が貯まってくると階段の上り下りや普通に歩くのも辛くなります。軽いうちはヒアルロン酸剤の関節注射でよくなることが多く、また運動療法も有効です。なかなか治らないときはMRI検査などで正しい診断を行い、それに応じて関節鏡による簡単な手術や、内反変形矯正の手術も検討します。重症では人工関節手術が必要になります。
【変形性膝関節症とは…】
- ・40歳代以降の女性に多く、徐々に進行する。
- ・太りすぎ、膝の捻挫、負担のかかる仕事などが誘因。
- ・ひざの内側の関節軟骨が次第にすり減ってくる。
- ・慢性の炎症が起こり、ひざが腫れて黄色い関節液が溜まるようになり、深く曲げにくくなる。
- ・半月板が変性断裂して関節内にはさまり、時に強い痛みやコキッという音が突発するようになる。
- ・10?20年の間にひざが次第に内反変形(O脚)になる。
- ・痛みと共に曲げ伸ばしが制限され、重症では歩きにくくなる。
【変形性膝関節症の治療は…】
- ・軽傷:ヒアルロン酸剤を関節内に直接注射する
- ・中等症:内反変形(O脚)が進行してきた時は、骨切り手術で変形を矯正する。
- ・半月板症状が強い時:歩行中に「キクッ」と起こる痛みに対しては、関節鏡による半月板部分切除手術を行なう。
- ・重症:関節全体に軟骨がすり減って骨も一部欠損し、内反変形も強くなった重症例では、人工関節手術が適応となる。
- ・内側だけに限局した関節症では、小型の担類型人工関節が身体への負担も少なくない良い適応となる。
【人工関節とそのメリットは…】
- ・手術は約2時間、厳重な無菌手術下で行ない、術後疼痛管理や血栓予防も行ない、術後の痛みや合併症を防止する。
- ・2日後から早期にリハビリテーションを始め、約1ヶ月で歩行可能となり退院。術後の輸血は不要。
- ・歩行時の痛みがなくなるのが最大のメリットで、内反変形も改善して階段の上り下りも可能となる。
- ・膝屈曲は約130°?140°の見込みで、正座はできないが、小型人工関節では正座が可能なことがある。
- ・現在の人工関節は耐久性が向上し、20年以上に亘り長持ちする。手術後は、年2回病院で定期検診を受けると、安心して痛みのない生活を送ることができる。
関節リウマチ
手首や指、肘、さらに膝などが腫れて痛くなるのがリウマチです。女性の方に多く、若いうちからでも発症します。進行すると関節が変形し、動きが悪くなり、日常生活動作が傷害されて困難になります。免疫抑制剤や生物学的製剤を使うと有効ですが、関節の固定手術や人工関節手術が必要になることがあります。
外反母趾
足のおやゆび(第1趾)が付け根の関節から外に向かって曲がってしまう変形で、日本人に多く、関節の痛みを伴います。変形を治すには手術が必要です。骨を切って矯正するので、治療に1ヶ月以上の期間が必要です。
捻 挫
捻挫は足首などをひねったりしたときに起こり、痛みや腫れがくるぶしに見られるほか、症状が重い場合は足首を動かすことが出来なくなります。その場合は関節の靭帯が断裂していることがあり、更には骨折を起こしていることもあります。靭帯損傷や骨折を見過ごしたままにしておくと、いつまでも治らないだけでなく、痛みなどの後遺障害を残すことがありますので、病院でX線写真を撮って正しい診断と治療を受けましょう。